この記事では、ルートキット(root kit)とは何か、仕組みや目的、ルートキットの種類、ルートキットを駆除する方法や対策方法について取り上げます。
ルートキットとは、コンピュータに不正にアクセスし遠隔操作するために必要なソフトウェアをまとめたパッケージツールのことです。ルートキット(root kit)の「root」は管理者権限を指しており、管理者権限を狙う攻撃のため、一度ハッカーによる侵入を許してしまうと、問題を解決するのがとても困難になります。ルートキットは基本的に、ソーシャルエンジニアリングを用いた手口や、不正プログラムの実行、悪意のあるWebサイトへのアクセスなどによりコンピュータにインストールされます。
ルートキットは、他のサイバー攻撃とは異なり、直接的な被害をもたらすのではなく、他のマルウェアの活動を助けるためのバックドアとして機能します。とても厄介な特徴として、ルートキットは検出を避けるために高度な技術を使用しているため、検出が非常に困難なことが挙げられます。OSの最下層で実行するものや、他のソフトウェアになりすますもの、検出アプリを騙すものもあります。また、ルートキットがOSと一緒に起動することで、通信が傍受されてしまう可能性もあります。
ノートパソコンやデスクトップ端末以外にも、IoT(モノのインターネット)端末を狙うルートキットもあります。パソコンを狙うルートキット同様、脅威度が高く、検知や駆除が困難です。
ハッカーがルートキットを使って攻撃する目的は、以下の通りです。
上記のようにルートキットはハッカーに悪用される一方で、ハッカー攻撃の検出、セキュリティソフトウェアの保護、ノートパソコンの盗難防止など、良い目的のために使用されることもあります。
ルートキットには種類があり、大きく分けると5種類あります。以下にルートキットの種類をそれぞれ紹介します。
これは、検出が最も難しいルートキットのひとつです。ハッカーは、このコードをオペレーティングシステムのコアに挿入します。カーネルは、デバイスのコントロールセンターのようなもので、このルートキットはシステム全体を乗っ取れることを意味します。
これは、コンピュータのアプリケーションレベルで動作し、プロセスをハイジャックしてソフトウェアを操作することで、データを危険にさらすルートキットです。ソフトウェアレベルで動作するため、検出が容易です。
ブートキットは、ハードディスクのブートセクションに感染します。ブートキットは、オペレーティングシステムやアンチウイルスソフトウェアが動作する前に読み込まれるという特徴があります。
これは、ルーターやPC周辺機器など、特定の機器を制御するファームウェアソフトウェアにアクセスするルートキットです。ファームウェアはハードウェアと結びついており、一部の機器のOSとして機能することがあります。そのため、ハッカーは特定の機器を完全にコントロールすることが可能になります。
これは、仮想マシンの中でOSを実行することができるルートキットです。この種の攻撃を仕掛けられてしまうと、既存のオペレーティングシステムが傍受され、デバイスが乗っ取られてしまいます。
前述の通り、一度ルートキットがインストールされると、通常のセキュリティソフトではルートキット検査を実行するのは困難になる可能性があります。ルートキットをスキャンして検出するには、以下のようなツールを利用するといいでしょう。
幸いなことに、さまざまなカーネル保護システムが普及している現在、ルートキットによる攻撃はあまり一般的ではありません。しかし、万が一感染してしまった場合、ルートキットの駆除作業はかなり複雑なものになる可能性があります。以下の方法で駆除することができます。
あらゆる種類のマルウェアに対する最良の対策方法は、予防です。ルートキットに感染する可能性を最小限にするために、次の対策を行ってください。